核酸の代謝
1.プリン、ピリミジンヌクレオチドの生合成経路について
ヌクレオチドの合成には、新規合成経路のデ・ノボ経路と再利用経路のサルベージ経路がある。
プリンヌクレオチドの合成
デ・ノボ経路
PRPP(5−ホスホリボシル−1−ピロリン酸)の糖を基礎に、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、CO2、THF、ATPを次々にとりこみIMP(イノシン−5−リン酸)を形成する。IMPにアスパラギン酸、GTPが作用して結果的にアデニル酸(AMP)を生成する。またIMPに水、NAD+、GLN、ATPが作用してグアニル酸(GMP)が生成する。
サルベージ経路
遊離プリン塩基やヌクレオシドが再びサルベージ経路でプリンヌクレオチド(AMP、GMP)となる。HGPRTaseの遺伝的欠損でサルベージ経路は阻害されリーシューナイハン症候群をきたす。脳など合成能力の弱い組織はサルベージ反応により合成たれたヌクレオチドを利用している。遊離プリン塩基の90%がサルベージ経路でヌクレオチドへ再生される。
ピリミジンヌクレオチドの合成
デ・ノボ経路
プリンヌクレオチドの生合成とは異なり、アスパラギン酸、カルバモイルリン酸からピリミジン環ができてそこにリボース−5−リン酸が結合してピリミジンヌクレオチドとなる。
サルベージ経路
遊離ピリミジン塩基はあまり再利用されない、ウリジンとシチジン、チミジンとデオキシシチジンはサルベージ経路でヌクレオチドになる。
2.ヌクレオチド代謝異常疾患について
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アデノシンデアミナーゼ欠損症
アデノシンが代謝されずに蓄積して、ヒトに重篤な免疫不全症を引き起こす。
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リーシューナイハン症候群
HGPRTaseの遺伝的欠損によりデ・ノボ合成が促進され、PRPP濃度の上昇をきたす。プリン過剰生成により尿酸の過剰生成を引き起こし、通風様の損傷を与える。
男子にみられ2歳までに発現し、精神障害があり、協調運動がうまくいかない。過度に敵意を持ち、強制的な自己破壊傾向を示す。
・通風
血中や組織内の尿酸濃度の上昇により引き起こされる関節病であり、男性に見られる。尿酸ナトリウムの結晶が異常沈着するために、炎症を起こし、痛みや関節炎症状が起こる。過剰の尿酸は腎臓の再刊にも沈着するので、腎臓にも障害が起こる。
プリン代謝産物キサンチンからキサンチンオキシダーゼによって尿酸はつくられる。抗通風薬アプリノールの作用機序はキサンチンオキシダーゼ阻害剤である。