エディプス・コンプレックス
フロイトS・Freudによって明らかにされた無意識心理に関する精神分析の基本概念のひとつ。フロイトは幼児にも性的なものが存在すると考え、3〜4歳になると精神、性的発達上の男根気に入り、それが6〜7歳まで続くとした。幼時はこの時期に入ると性の区別に目覚め、異性の親に対する愛着、同姓の親への敵意、またその敵意のせいで処罰されるのではないかという去勢不安の3点を中心として発達する観念複合体をエディプス・コンプレクスと命名した。この名称は、それと知らずに父を殺害し母と結婚し、やがて真相を知って自ら両目をえぐりぬいた「エディプス王」の悲劇に由来している。このコンプレックスには異性性の親に愛着して同姓の親を憎悪する陽性エディプス・コンプレクスと、この関係が反対になる陰性エディプス・コンプレクスがある。前者は、正常な幼児の発達過程で経験されるもので、異性化の道を進んでゆく。後者は異性化は失われて同性愛傾向が強まってゆく。6歳ごろになると男根期が終わり、エディプス・コンプレクスも消えてゆくが、この解消のされ方が性格形成、性同一性の確立、超自我の形成、神経症の発祥などに重要な関連を持つのである。
学習
学習とは先行経験の積み重ねに依存する比較的永続的な行動の変容であり新しい行動の獲得を言う。
パブロフにより明らかにされた条件反射とは、無条件刺激と条件刺激の対提示を反復することで条件刺激を与えるだけで条件反応を示すことである、しかし条件刺激のみを与え続けるとこの条件反射は消去してしまう。
ソーンダイクにより明らかにされた試行錯誤とは何度か反復することにより所要時間が減り必要な行動だけを行うことができるようになることである。刺激と反応はその反応に後続する結果に左右される「効果の法則」を定義した。
観察学習(洞察)とは他者の行動、それまでの経験から動作をあらかじめ予測して行動することを言う。この3つの学習は条件反射、試行錯誤、洞察の順に学習が高度になっている。
防衛機制
防衛機制とは、予期不安に基づいて、通常は無意識的に様々な防衛手段を講じることである。人格崩壊や破壊的な行為を未然に防ぎ、環境へ適応しようとして作用することから適応機制とも呼ばれている。
防衛機制の基礎となっている抑圧とは不快で容認できない観念や欲求を無意識の中に押し込めて意識されないようにすることで、自我が傷ついたり苦悩したりすることを防ぐために生じる心の作用である。抑圧が弱いと空想で生きたり、抑圧が強いと自分らしさをもてなくなる。そのほかに、自分の失敗や欠点や不快な体験などを後からもっともらしい理由を作って正当化し、自分を納得させる合理化、自己以外の対象、たとえば他人や集団、制度、価値観などと自分とを一体化して、自己の欲望や願望を充足する同一化。
深刻な不安や苦悩に直面したり、解決困難な状況に陥ったときに積極的・合理的な解決行動をとらずに、こうした自体や状況から逃げてしまう逃避がある。逃避にも対処すべき課題や事態を避けて、直接関係のないことに熱中してしまう現実への逃避、現実の事態を放置したまま、空想の世界で欲求充足や課題解決をはかろうとする空想への逃避、病気になることによって、現実の苦悩から逃れようとする病気への逃避があり、これらは特にいい防衛機制とはいえない。
動機づけ
私たちは日々の行動を自主的に決めている。それは心の内部には行動へと突き動かす力が働くからである。動機には、生物学的動機、内発的動機、社会学的動機がある。
生物学的動機のうち、個体の維持にかかわる行動は生態を維持するのに不可欠な体内環境を一定に保つ仕組みであるホメオステーシスを維持する動機である。具体例として、飢え、乾き、睡眠、呼吸、排泄、苦痛の除去、体温の維持、性、育児などがあり、自らの生存と種の存続に直接かかわる行動に結びついたものである。
内発的動機とは、個体が環境をよりよく把握し置かれた環境下で最適な行動が取れるようにする機能を果たしている。動物はほかの動機の満足につながる経験がなくても環境を探索したり、好奇心を満足するためにいろいろな行動をする。高等な動物ほど、「遊び」と呼ばれる行動につながっている。
社会的動機は社会生活を営む動物に特有の動機であり、社会生活を円滑に勧めるように行動を調整する機能であり、獲得、優越、謙虚、支配等である。社会的動機づけで比較的よく研究されているのが達成動機と親和動機である。達成動機とは自己の能力を発揮しそれを他の仲間に認めてもらいたいという欲求のことで、親和動機とはほかの仲間と協調を図ろうとする欲求のことを言う。
また2つ以上の動機がぶつかり合うことを葛藤という。