今回見学に行った三健堂は漢方薬局であったが、漢方薬をはじめとして針灸治療そしてエステと、現代人が抱える問題を漢方の考え方を大いに利用して、総合的に対処する設備と能力をそなえていた。(薬剤師は患者さんの体に触れることはできないため、漢方を志す薬剤師は針灸の免許をとることが多いようである。)
午前中は朝礼の後 毎日行われるという勉強会があり、漢方を志した人たちの情熱が感じられた。内容は見学に合わせて虚実、陰陽五行説など、漢方の概念の説明が中心であり、多少授業で聞いたフレーズが並んだため抵抗無く理解できた。
午後からはいよいよ調剤をやらせていただくことになり、葛根湯などよく知っているものから初めて耳にする漢方薬まで、授業でなじみのある生薬を測っては混ぜて 多くの漢方薬を調剤することができた。しかし時間がたつにつれて調剤の面白さよりも、正直作業の責任の重さと単純さの反比例に気をやみ、もう少し漢方薬を知っていればもっとこの経験が貴重で楽しいものであったのではないかと、今後の課題を感じていた。
最後に漢方薬剤師を志すもののため先生から諸説明があり、参考文献などの紹介があった。そこで聞いたのが漢方は経験が何よりもものをいい 30年でやっと一人前とのこと、少々衝撃を受けた。気がつけば普段手にする医療用医薬品はもちろん扱わないわけで、両方扱えるとどこかで期待していた部分があり、遅ればせながらこのとき初めて漢方薬の道を選ぶことは相当の決心が必要であることに気づいた。漢方薬剤師か、普通の薬剤師かの選択に迫られたら、今のところ漢方薬剤師を志す自信は無い。しかし漢方薬の可能性には興味があるので今後、授業を通して自分の可能性を見極めつつ方向性を決めていこうとおもう。
いずれにせよ、今回漢方薬局を見学できたことは 漢方薬への興味をより抱くことにつながったので、大変いい経験だったと思います。