【法学:日本国憲法】

1 憲法の三原則
2 近代憲法(立憲主義憲法)の特色
3 現行憲法と明治憲法の特徴
4 憲法9条の意味
5 財産権の三原則(民法の三原則)
6  犯罪が成立するための条件
7 過失責任の原則
8 日本において現行法が成立するまでの流れ

 

1 憲法の三原則

原則は@人権の保障(上位概念である)、A国民主権、B平和主義

基本的人権には、クラシックな権利(国の介入、干渉を排除ための自由権、参政権、人権を保障するための権利、包括的人権)と、WW1以降に認められた国に対して、措置を求める社会権がある。

・自由権には最重要な精神的自由権(思想・良心の自由19、信教の自由20、表現の自由21、学問の自由23)の他、経済的自由権(営業の自由・職業選択の自由22、財産権の保障29)、人身の自由(刑事手続きの保障)がある。

・参政権(選挙権15、請願権16

・人権を確保するための権利(裁判を受ける権利32、国家賠償請求権17

・包括的人権(平等権14、個人の尊厳13、幸福追求権;新しい人権へ展開)

・社会権には生存権25(医療保険、年金、公的扶助など、国民の最低限度の生活を保障)、

教育権26、労働権27(労働者の権利保障を国が実現の助力をする)

国民主権、平和主義は基本的人権を守るためのものである

2 近代憲法(立憲主義憲法)の特色

人権保障のために国家権力が制約を受け、権力が憲法の範囲内でのみ行使するルールのことを立憲主義という。これを取り入れた、近代憲法には以下の特色がある。

     国王の絶対権力を否定し、憲法の最高法規性を確認する

     人間の尊厳を重んじ、それを保障するために、権力分立を取り入れる

     国民の政治参加の保障

     文書化された保障(成文憲法)

など徹底して人権保障(例えば信教、表現、営業の自由)に重心をおき、国は自由を保障された国民の生活になるべく介入しない体制をとる(自由国家)

  

3 現行憲法と明治憲法の特徴

明治憲法は、人権の保障、国民の政治参加、権力分立、成文憲法であり近代憲法である。

しかし、

欽定憲法であり、天皇が人権保障を与える点、

天皇に統帥権があり軍に対するコントロールを議会、大臣が有しない点、

大臣は天皇に対してのみ個別に責任を負う点において問題があった。

現行憲法には、

戦争放棄(人権保障のため)

地方自治(中央集権(明治)→国の権力集中を防ぐ(権力分立);個々人の集団にあった、意見、仕組みの集積物が国を作るから)

最高法規(天皇の保障された人権(明治)→憲法に保障された人権)

司法の内容の条文(司法権:天皇(明治憲法)→裁判所(現行憲法)、最高裁判所は憲法の番人として憲法の最高法規性を守る(違憲立法審査権))

が加えられた。

近代国家としての明治憲法が、自由国家だったのに対して(ww1まで)、現行憲法は、社会権で国民の生活を保障する社会福祉国家、積極国家である。

4 憲法9条の意味

憲法91項は「国権の発動たる戦争、武力による威嚇、武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄することを宣言する。」 また、2項は陸海空軍その他の戦力の不保持、交戦権の否定を規定している。この限りにおいては、9条の趣旨は徹底した戦争放棄の意思を表したものと解釈される。

5 財産権の三原則(民法の三原則)

@所有権絶対の原則(物権のルール);物に対する支配を国が保障する、私有財産尊厳の原則の下、物権的請求権(返還請求権、妨害排除請求権、妨害予防請求権)を主張できる

A契約自由の原則(債権のルール);契約に国が干渉せず、契約締結の原則(申し込み、承諾の自由の保障)、内容の自由(公序良俗の範囲内)、形式の自由(合意が重視)がある

B過失責任の原則(両方);他人の権利を侵害し、損害を生じさせたものは、その行為者(加害者)に、故意または過失があるときに限って、賠償の責任を負わすべきであるという原則。

6 犯罪が成立するための条件

第一段階;刑法のリストに該当する行為である

第二段階;その行為につき社会的にみて違法性がない、とはいえないこと

(違法性がない:正当防衛、緊急避難、正当業務行為 の事由がある)

第三段階;その行為が有責であると評価される

(有責な行為;他行為をする可能性があるにもかかわらず犯罪行為をすること。刑事未成年、心神喪失者、心身消耗者の行為には責任がない)

をクリアすると犯罪が成立する

7 過失責任の原則

他人の権利を侵害し、損害を生じさせたものは、その行為者(加害者)に、故意または、過失があるときに限って、賠償の責任を負わすべきであるという原則。

債務不履行、不法行為によって生じる

債務不履行;債権関係が存在し、相手方の不履行が存在。

不法行為;被害者が、

     権利侵害がある

     相手方の故意、過失が認められる

     損害が生じる

     権利侵害行為と損害との間に因果関係がある

を証明する必要がある

加害者が企業などの場合、以上4つを証明するのは困難である。そこで、PL法が生まれた。

PL法(製造物責任法);修正した不法行為のルール

     その企業の製造物である

     そのものに、欠陥性がある

     損害が生じる

これを満たせば不法行為であるとする被害者救済のための法

8 日本において現行法が成立するまでの流れ

日本の憲法は明治以降、民選議院設立の建白書→日本国憲按→伊藤博文がヨーロッパへ行き帰国後起草し、大日本帝国憲法を作る(不平等条約改正のため法典作成)→敗戦しポツダム宣言(@日本の武装解除、A基本的人権の保障、B民主主義の強化)受諾(/14

→降伏書調印(9/2)→憲法問題の調査会で日本側一部修正→マッカーサー草案(天皇は元首、戦争放棄、封建制完全廃止)で日本側全面改正→日本国憲法(@→平和主義、A→基本的人権の尊重、B→国民主権+戦争の放棄、地方自治、憲法の最高法規性)1946/3/6公表、第90回帝国議会の衆参で可決され、11/3公布、翌年5/3実施。

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