【C型肝炎ウイルス】

C型肝炎ウイルス(HCV)は、フラビウイルス科ヘパウイルス属に属するエンベロープを持った一本鎖RNAウイルスであり、1989年にC型肝炎の原因として存在が証明された。

日本人の1.7%(約150万人)、世界人口の3%(約1億7千万人)が持続感染しているといわれている。

HCVに感染すると約30%は自然治癒するが、約70%はキャリア化する。キャリアの70%は急性肝炎をへて、慢性肝炎になり、さらに25%は肝硬変(感染から20年)、20%が肝臓癌(感染から25年)へと病は進行していく。C型慢性肝炎の自覚症状だが、全身のだるさ、食欲不振などあるが、肝臓は「沈黙の臓器」といわれるように多くの人は症状に気づかずすごしている。自覚症状がC型慢性肝炎の発見の契機となる割合は、13%程度というデータもある。C型肝炎ウイルスに対する予防ワクチンはなく、できる見通しもたっていない。そのため何よりも早期発見がもとめられる。医者から肝機能が悪いといわれたり、19921月以前大きな手術を受けたり輸血を受けた、あるいは19301945年生まれ、刺青やピアスなどで針を共有した人は、ウイルス抗体検査を受けるべきである。もし抗体陽性反応がでても自然治癒している可能性もあるので、更なる検査がもとめられる。

HCVの感染経路は、血液感染である。空気、食物からは感染しないので、感染者と同じ鍋をつついたり、一緒に入浴したり、皮膚の接触からは感染しない。

日本では戦後混乱期、復興期における覚せい剤ヒロポンの回しうちなどによりC型肝炎ウイルスは広まり、売血制度、結核の流行と手術輸血によって感染は拡大した。しかし戦後、医療水準は急速に改善し、1964年以来売血は禁止され、1990年からは献血者の血液でのC型肝炎ウイルス抗体のスクリーニングが開始され、母子感染、家族、夫婦間での感染もまれであるため、新たな感染はほとんどなくなった。そのためC型肝炎ウイルス感染の年齢別頻度は、右肩上がりに年とともに上昇している。

 しかし発展途上国では今もなお日本の戦後混乱期、復興期のように、薬物乱用、不適切な医療行為によってC型肝炎ウイルス患者が、特に若い世代で増加している。

  

 C型肝炎の治療には、根治的治療として、インターフェロン治療(注射の抗ウイルス薬)とリバビリン(経口抗ウイルス薬)などの併用治療により、C型肝炎の40%の人でウイルス排除が可能である。たとえ直らなくともインターフェロン治療は、肝臓癌の発生を抑制するといわれている。また、インターフェロンが使えない、効かないとしても、肝硬変、肝臓癌になることを防止するための治療がある。

しかし残念なことに日本人にはインターフェロン治療は有効ではない。C型肝炎ウイルスには4タイプあり、日本人に多いのは2のタイプで全体の80%を締める。インターフェロン治療は、どのタイプにも有効だが唯一2のタイプだけには効きめがよわい。つまり、日本人のC型肝炎ウイルスの80パーセントを締める2のタイプにはインターフェロンをつかっても効かぬことが多いのである。

また、瀉血療法、鉄摂取制限療法が肝炎抑制に有効であると証明された。

対症療法には、ウルソデオキシコール酸、強力ネオミノファーゲンC(静注)が使われる。

 現在日本人の死因トップは悪性新生物癌であり、肝臓癌での死因は、男性では肺癌、胃癌についで3位、女性では、胃癌、大腸癌、肺癌についで4位である。肝臓癌に移行する肝炎には、ウイルス性、アルコール性、薬物性とあるが、ウイルス性肝炎は全体の90% C型肝炎は70%をしめている。そのような意味でも、C型肝炎ウイルスの早期発見は重要であり、これからの課題となる。

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